平面から立体へ

 まず、折り紙建築という言葉をご存知でしょうか。そこまで知名度の高い工作分野ではないので、初めて耳にしたという方も多いかもしれません。
 折り紙建築(以下折り建)とは、故・茶谷正洋さんが創始・考案したもので、簡単に言えば、開くと飛び出すカードのようなものです。一枚の紙に切り線と折り線を入れ、後は指などで折り線を折って紙をおこしていきます。ただの平面だった一枚の紙から、立体の建物や動物・植物などが魔法のように立ち上がってくるところは、まさに折り建の醍醐味です。
 ここでは、折り建に限らず、ポップアップカードなど「開いてとび出す」紙の作品も扱っていきます。カードという限られた枠の中でどのように紙が変化するのか、そしてどこまで変化できるのかを感じていただけたらと思います。
 折り建は、制作に時間がかかることが多いです。でも、自分のレベルを上げるために作ることももちろん楽しいのですが、それを人にあげるために作る方がもっと楽しいです。難しそうに見える作品でも案外簡単にできてしまったり、あるいは見た目相応の技術を必要とする難易度の高い作品だったり、いずれにしろそれを受け取る人は、製作者が作品にかけた時間をちゃんと感じ取ってくれます。手作りの作品が機械製品に勝る点は、まさにそこにある「相手へ費やした時間」だと思います。
 そうはいっても、多忙な私は5分で作りたい!という方、ご安心ください。ちゃんと5分で作れるような作品も存在します。あとは折り建に慣れ、自然と技術力が上がっていけば、いつの間にか短時間で製作できるようになっているでしょう。
 

 必要な道具

 折り建に使う道具は、増やそうと思えばいくらでも増やせます。専門的な道具もいくつかありますが、そういったものはある程度技術が上がってからの方が扱いやすいでしょう。逆に、そういった道具を有効活用できるようになれば、紙技を大いに楽しみ、究めていけると思います。

 〈基本的な道具〉
 カッターナイフ(45度刃)
 
 一般的なカッターです。ちなみに写真は私が愛用しているオルファのリミテッドFA。刃の出し入れがすごく滑らかで使いやすいです。黒い刃は銀の刃に比べて切れ味は鋭いので、細かい作業におすすめ。画用紙を切る時に使用します。
 スケール(鉄定規)
 
 プラスチック製はダメ、絶対。カッターを定規に滑らせて切るので、鉄かステンレス製の定規でないと、定規がすり減ってまっすぐな線が切れなくなります。
 直線を切るときに使用します。
  画用紙
 タント紙、マーメイド紙がおすすめですが、ダイソーの8枚100円のものでも十分です。むしろ安くて薄い紙の方がやりやすい作品もあったり(笑)慣れてきたらレザック紙、ケント紙、ニューキャンパス紙など特徴のある(高いけど)ものを使うと、それだけで作品の雰囲気ががらりと変わります。
 よくよく考えて、これから作る作品にあった色と素材を選びましょう。
  トレーシングペーパー
 下が透ける薄い紙です。型紙をうつすときに使います……が、型紙をコピーして使う方は必要ありません。あると便利だけど手は汚れるし値段は高いし……
 結論:別にいらないかも
  メンディングテープ
 型紙を画用紙に固定する際に使います。別にセロテープでもいいですが、メンテは剥がしやすいので間違って紙を破いてしまうことが少ないです。
 スコッチで多種売っています。ドーナツ型のものは工作をしない人にも人気ですよね。
  ボンド
 よくある質問:「スティックのりでもいいですか?」
  →ご飯粒と同レベルにダメです。絶対にはがれます。一度乾いたら絶対にはがれない、ボンドにしてください。細いところをぬるときは楊枝につけて使います。
 

 作業工程

 それでは、実際の手順を紹介します。
 ただし、初めにお断りしておきますが、ここに示すのは一例にすぎません。切り絵の作業方法は他にもさまざまあり、人によってやりやすさは違うと思います。とりあえず今回は、あまり特別な道具や技術が要らなくて、早く安く(笑)できる方法をご紹介いたします。…と言っても、大したことはないのですが。
 

 型紙例

 ここでは、切り絵の型紙(下絵)を配布しております。必ず「利用規約」を読んでからご利用ください。
 

折り建 型紙

 

 

 




 

 

 

 

 
 
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